第17話 選択の時~優しさの在り処は~

WoW

数々のうっかり試練を乗り越え、ようやくKalimdor大陸にあるAllianceの港町Darkshoreにやってきたセシ & ヴォイド君。
セシリー「ここがKalimdorか、やっと着いたね~」
ヴォイド君「普通なら30分くらいで来れるはずなのに、時間かかりましたねホント……」

どうやらこの町はNight Elfe達が支配しているようで、Humanやドワーフたちの姿をほとんど見かけませんでした。
セシリー「Night Elfe Playerは、ここからスタートなのかな~」
ヴォイド君「いえ、ここからヒポグリフで海を渡ったTeldrassilって所みたいですよ」
セシリー「ヒポグリフか。ちょっと乗ってこうか、ヴォイド君」
ヴォイド君「だめです、もうこれ以上の寄り道は許しませんよ!」
セシリー「うう、分かったよ。じゃ、向かおうか……ってどこ行くんだっけ?」
ヴォイド君「もう、しっかりしてくださいよマスター。BarrensにあるCamp Taurajoですよ」
セシリー「ああ、そうだったね。よし、Barrensに向かって出発~」
ヴォイド君「すでにこのDarkshoreは中立地帯ですから、Hordeに気をつけてくださいね」
セシリー「まかせて、まかせて」
Mapで確認したところ、BarrensへはDarkshoreから南に向かえばいいようです。

セシリー「でも、Darkshoreって名前の割りにはそんなに暗くないんだね。この森」
ヴォイド君「そうですね~。Darkshireはとことん暗かったですけど」
道なりに進み、Ashenvaleというまたまた森のZoneへ。
セシリー「うん。順調、順調。BarrensはこのZoneの南にあるみたいだし、もう少しだね」
ヴォイド君「マ、マスター!」
セシリー「え、なになに?」
ヴォイド君「前からHordeが!」
Undead PriestとOrc Warriorがこっちをじっと見ています。
セシリー「ま、まずいやっぱり牛さん殺害の手配書が出回っているのか? 逃げよう、ヴォイド君」
ヴォイド君「うおおおお、許さんHorde!」
セシリー「ヴォイドく~ん!?」
命令出してないのに突如Aggresive(攻撃的)モードに入ったヴォイド君は、2人のHordeに突っ込んでいきます。
セシリー「いや、無理だって! どうしちゃったのヴォイド君!?」
突っ込んでくるヴォイド君を、オークWarriorが余裕をもってKeep。
そしてUndead Priestがセシの方へ向き直り。
セシリー「は、早く逃げなきゃ」
オークWarriorもヴォイド君を無視し、セシに殴りかかってきました。
セシリー「うう、だめだ。もう逃げ切れそうにない、こうなったら!」

セシリー「うわ~ん、もう殺すなら殺せ~。ぽかぽか」
やけくそで殴りかかるセシリーさん、20歳。
セシリー「フフフ、1発も当たらないな(p_;」
やがてヴォイド君が倒れ、死を覚悟するセシ。しかし、何故か攻撃してこないOrc Warior & Undead Priestさん。
セシリー「何か知らないけど、今がチャンス! おーぼーえーてーろーよー!」
捨てぜりふを吐きRun、Run、Run!

逃げたところを魔法で止めをさされる、かっこ悪い死に方が頭に浮かびましたが、ホントに見逃してくれるのかな? ちょうど坂が前方にあったので、それを登り途中でヴォイド君を呼びなおし下を向いてみると、
セシリー「追っかけてくるよ~、ヴォイド君(@_@;」
ヴォイド君「向こうも馬に乗れるほどLv高くないみたいですけど、逃げ切れそうにないですね。マスター」
う~ん、う~ん。キュピーン!(@_@/
セシリー「いい方法思いついた、ヴォイド君はここで待ってて」
ヴォイド君「あ、はい」
坂の頂上を目指し駆け上がるセシと、その場に残るヴォイド君。セシが思いついたいい方法とは一体!?
ヴォイド君「マ、マスター。さっきの2人組みが追いついてきたんですけど」
セシリー「……」
ヴォイド君「マ、マスター。聞こえてます?」
セシリー「フフフ、フハハハ、アーッハッハハ!」
ヴォイド君「マスター、まさか!?」
そう、セシが思いついた方法とはヴォイド君を置き去りにし、2人組みがヴォイド君に構っている間に遠くへ逃げること!(← 一応主人公
ヴォイド君「ぎゃ~、タースーケーテー。マスター」
セシの思惑通り、2人組みはヴォイド君に夢中に。
セシリー「あ、そろそろ死にそうだね。じゃSacrificeよろしく、ヴォイド君(^^」
ヴォイド君「オニー、ヒトデナシー……がくっ」

ヴォイド君を倒した2人組みは尚もセシを追跡してきます。
セシリー「うう、このままでは追いつかれてしまう」
横道に入り、オウムのオムさんを消し岩陰に隠れ、じっと彼らが通り過ぎるのを待ちますが、しっかり隠れたはずなのにすぐ見つかってしまいました(p_; 1撃で200以上減らされ、今度こそ覚悟を決めるセシ。しかし、やっぱりセシが死にそうになると攻撃をやめる2人組み。
セシリー「なんなの、遊んでるんじゃないの!?」
またやけくそで殴りかかろうとしますが、どうも様子が変です。よく見るとEmoteで謝ったりしてる、2人組み。
セシリー「もしかして、セシを殺す気はないんですか?」
思い切ってSayで聞いてみましたが、返ってきた返事はHordeの共通語らしく読めません。多分セシの言葉も向こうからは読めないのでしょう。言葉はコミュニケーションを取る上で、もっとも大事な方法なのにそれが伝わらないなんて。どうすれば……。とりあえず危害を加える気はないみたいなので、ヴォイド君を再度召喚。
ヴォイド君「マスター! よくもぼくを見捨てましたね。食らえ~、Torment!」
呼び出されたと同時2人組みに殴りかかるヴォイド君。
セシリー「や、やめてーヴォイド君。セシはこっち。その人たちはHordeだけど、いい人なんだよ!」
またAggresiveモードになってしまったようで。こ、困る(@_@;
ヴォイド君「うらー、死ねー!!」
正直この時は死を覚悟しました……。無駄とは思いつつも必死にヴォイド君を下がらせ、Emoteで『/No』を連発し、故意じゃないことをアピール。尚も殴りかかろうとするヴォイド君をSacrificeで消し、様子を伺ってみると。何故か踊り始める2人組み。
セシリー「え、えっと?」
踊りながらこちらに手招きし、セシにも踊れっていってる?


PvPサーバーに決めた時から、AllianceとHordeは殺しあうしかないと思っていたセシ。でも、例え言葉が通じなくても、心を通わせることができるんですね。しばらく一緒に踊った後、彼らは大きく手を振り去っていきました。殺伐としたWoW世界で、このような出会いが待っているとは思いませんでした。素直に嬉しかったです。

セシリー「やっぱり何事も決め付けるのはよくないね、ヴォイド君。AllianceとHordeだってこうして分かり合えたんだから」
ヴォイド君「その一方で、ぼくを置き去りにしていった人もいますけどね。フフフ……」
セシリー「あ、えっと。Soul Shard少なくなっちゃったから、ちょっとそこらで補充していこうヴォイド君」
ヴォイド君「もしかしたらぼくCharmされるかもしれませんけど、決してぼくの意思じゃないですからね。フフフ……」
Night Elfeの彫像が建つ周辺を、セシと同じくらいのLvの蜘蛛が徘徊していたのでここで狩ることに。
セシリー「いたた、ヴォイド君何やってるの? セシに張り付いてるじゃん蜘蛛!」
ヴォイド君「あ~、スパイダーネットで身動きが……」
セシリー「え、もう切れてない? セシの目にはそう見えるけど」
ヴォイド君「いえいえ、まだまだ解けないみたいですよこの糸。フフフ」
ヴォイド君のささやかな逆襲にあいながら5個ほどのSoul Shardを精製。

セシリー「そろそろ出発しようか、ヴォイド君」
ヴォイド君「ええ、少しは気も晴れましたし」
セシリー「じゃ、最後に1匹だけ狩っていこうか。Go、ヴォイド君」
ヴォイド君「了解です、マスター」
いつものようにヴォイド君にMobを抑えてもらい、後方からSpellを打ち込むセシ。
蜘蛛A「キッシャー!」
セシリー「む、Addか!?」
後ろを振り返ると1匹の透明なわんこが蜘蛛に追いかけられています。Classを見てみるとLv20 Tauren Shaman。さっきの2人組みとの邂逅で、また仲良くなれるかもとヴォイド君を放置し、Spellで助けてあげました。

言葉が伝わらない代わりにThanksの意味なのか、『/bow』で頭を下げるRyrirさん。セシもどういたしましてのつもりで『/salute』をし敬礼を返します。
セシリー「ああ、こうして人の輪って広がっていくんだね。ヴォイド君」
ヴォイド君「マ、マスターもうだめ」
Keep力は抜群なものの、攻撃力はまったくないのでぼろぼろになりながら、それでも蜘蛛を抑えるヴォイド君。慌てて駆け寄りDot & DDで、なんとかヴォイド君を死なせることなく蜘蛛をKilled。
セシリー「ふう、危ないところだったね。ヴォイド君」
ヴォイド君「助かりました、マスター。あれその透明なわんこは……」
セシリー「あ、この人はRyrirさん。牛さんShamanだよ」
ヴォイド君「うおおお、死ね~Horde!」
セシリー「だ、だめー、ヴォイド君!」
Ryrirさんに殴りかかるヴォイド君。そして元々瀕死だった彼は無責任に散っていきました(@_@; さっきの2人組みの時と同じような状況になり、他に何も思いつかなかったので『/No』を。しかし、セシの思いは伝わらず殴りかかってくるRyrirさん。

セシリー「うう、Fear~!」
今のランクではFearの効果時間は最大で10秒間。それまでにどうするか決めないと。頭の中に浮かぶのはセシの好きな漫画『TRIGUN』のセリフ。


『こないな時代やと人生は絶え間なく連続した問題集や、揃って複雑選択肢は酷薄。加えて制限時間まで有る。一番最低なんは、夢みたいな解法を待って何一つ選ばないことや。オロオロしてる間に全部おじゃん。一人も救えへん、選らばなアカンねや!!』


セシリー「うう、このまま、このままFearが解けたら逃走してくれないかな」
願いも虚しくRyrirさんは帰ってきて、再びセシを殴り始めます。Heal PotionはRyrirさんを助ける際に使い切ってしまい、もう残っていません。Health Stoneも使い切り、いよいよ後がなくなりました。
セシリー「く、もう1回Fear~!」
今度もResistされることなく入って、再び10秒間の猶予を得ました。
セシリー「選ばないと…答えを出さないと…」
ヴォイド君がいない今、道もよく分からないこの森をセシ一人で逃走することは死を意味するでしょう。セシの命か、Ryrirの命か。

ヴォイド君「マスター……」
セシリー「セシは自分のことあんまり好きじゃないけど、それでも自分が1番大事みたいだよ。ヴォイド君」
ヴォイド君「……」
優しさとはなんなのでしょう? 割と八方美人なセシはよく優しい人と誤解を受けます。でも、本当の優しい人っていうのは、自分と他人が困っている時、それでも迷わず相手の事を救おうとする人のことだとセシは思います。
セシリー「一度は分かり合えたのに、セシのミスでそれをぶち壊しにしてしまい。その自らの罪を償うことなく、他人の命を犠牲にしてまで生き残ってしまった……セシに旅をする資格はあるのかな? ヴォイド君」
ヴォイド君「……Barrensへ行きましょう、マスター。ぼくらはその為に来たんですから」
セシリー「そうだね……」
ゲーム内の出来事なのにかなり凹みました。希望を抱いた後に、絶望を突きつけられるのはホント辛いですね(p_;

もうこれ以上Horde Playerと出会いたくなかったので、道なりに行くのを止め、森を通ってBarrensを目指すことにしました。Horde Playerに出会うことはなかったものの、森の中のMobはLv23+で、3回ほど死亡しながら前へ。

そしてようやくBarrensに到着。初めてのHorde Territoryです。GuardのLvは20からは当然ドクロ。


Lvドクロ……自分よりLv11+(?)以上の敵対PlayerやモンスターはLvの欄にドクロがつき、正確なLvは分からない。


セシリー「う~ん、ここまで来たのにどうしたものかな。ヴォイド君」
ヴォイド君「う~ん、困りましたね~」
ビューン、ドカーン
セシリー「いたた、なになに?」
Lv25+くらいのHorde Groupが、いきなり襲い掛かってきました。
セシリー「逃げろ~。ヴォイド君、Sacrificeを!」
ヴォイド君「逃げ切れるとも思えませんけど、がんばってマスター。Sacrifice~!」
セシリー「よし、これで300ダメージは防げる。あとは逃げ切るのみだ!」
Barrensの右の森へ逃げ込みましたが、執拗にHorde Groupは追ってきて、さらに。
セシリー「なんで行き止まりなの~……がくっ」
なんともかっこ悪い死に方をしてしまいました(^^;

セシリー「くっそー。何もここまで追いかけてこなくてもいいじゃない。まあ、でもSoulstone使っておいたし」

セシリー「ば、ばれてる!? まさかこの人のクラスは!」
やっぱりWarlockでした。さすがに同クラスだけあって何もかもお見通しですね。6分以内にSoulstone使わないと、墓場に飛んでしまうのでここからは持久戦になるかと思いきや、あっさり引き上げるVoidermortさん。多分Groupだったので、何時までそこにいるんだVoid~とでも言われたのでしょう。Voidさんが去ってから、慎重を期してさらに2分ほど待ってSoulstoneをぽちっと押し、復活~。復活したのはいいものの、状況はまったく変わっていません。
セシリー「ホントどうしようかね、ヴォイド君」
ヴォイド君「とりあえず突破は無理そうですし、一旦Stormwindに帰りません?」
セシリー「そうだね、じゃ突っ込もうか!」
ヴォイド君「ええ!? なんでそうなるんですか、マスター!」
死んで元々と覚悟を決め。
セシリー「じゃあ、最初からSacrificeお願い。ヴォイド君」
ヴォイド君「無理だと思うな~、ぼくは。Sacrifice~!」
ヴォイド君の生命の輝き、光のバリヤーを纏い、今、新たな土地へ!

ま、まあがんばったよねセシ。こうしてようやく目的地Barrensに着いたセシリー。しかし、その体は透き通っており、今にも消えそうなのでした。


補足

PvPサーバーの意味を初めて認識させられた1日でした。初めてHordeと遭遇した時のどきどき感は、多分みんな同じだと思います(^^;

今日のサービスショット

森の中で出遭った、賢そうな黒鹿さん。

次回予告

Barrensに幽体でついてしまったセシリーは、その事実をしっかり受け止めていた。
セシリー「よし、今日からゴーストとして生きよう~!」
間違った方向へ進みつつあるセシリーの果てに待つものは、Undead化なのか!?
次回「ゴーストセシリーの冒険~あ、これで堂々と人を呪えるじゃん♪~」 乞うご期待!


Played in 2005/09/28

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