第04話 Malcure農場より愛をこめて
Goldshireにある宿屋Lion’s pride Inn。夜になれば1階のバーは、Stormwindを目指す冒険者や外から来た商人達で連日賑わい、さわやかな朝は宿屋の主人が酔っ払いを追い出そうとする大声と共に始まる。Stonefiled Farmでの依頼をこなし疲れ果てた若きWarlockセシリーも、昨夜はぐでんぐでんに酔っ払い昼になった現在もまだベッドで寝ていた。
キューズ君「あにき、起きてくだせぇ」
セシリー「あと5分、5分だけでいいから寝かせて・・・Zzz」
キューズ君「さっきもそう言ったじゃないですか、もうとっくに5分経ちましたぜ」
セシリー「あ~、標準時間の5分じゃないよ。セシリー時間の5分だよ・・・Zzz」
キューズ君「勝手に自分時間作らないでくだせい!」
セシリー「う~ん、分かったよ。じゃ標準時間であと5分だけ・・・Zzz」
キューズ君「もう、往生際がわるいな~。お客さんがずっと待ってるんですが」
セシリー「え、お客? 宿代溜め込んでるから、主人が変装してきてるんじゃないの? ふわぁ~、ねむ」
キューズ君「いや、女の人でなにかあにきに頼みごとがあるみたいですぜ」
セシリー「何だろう、誰かを呪ってほしいとかかな」
がちゃ
部屋のドアを開けると一人の若い女性が立っていた、何やら思いつめた顔をしている。
???「もうお昼ですがおはようございます、セシリーさん。私の名前はMaybell・Maclure、メイベルとお呼びください」
セシリー「メイベル・・・Maclureさん? どこかで聞いたことのある姓ですね」
メイベル「ああ、先日お世話になったビリーは私の弟ですわ」
セシリー「なるるん。で、メイベルさんセシに頼みたい事とは? あ、ビリー君の折檻なら喜んで引き受けますよ」
メイベル「いえ、ビリーのことはもうあきらめてますから。頼みたい事とは私のことなんです。実は私・・・呪われてしまったのです」
セシリー「ほほう、それでセシにその呪いを解いて欲しいという訳ですね。呪いをかけられる心当たり、もしくは症状があったら教えてください」
メイベル「はい、ある男性の事を考えると胸が苦しくて息が出来ないんです」
セシリー「えっと、それは・・・」
メイベル「彼の名前はTommy・Joe・Stonefiled。やさしい性格でとってもハンサムで、嗚呼、トミー、トミー!」
セシリー「お、落ち着いてメイベルさん。どうでしょ思い切って告白してみては?」
メイベル「それが・・・彼は私達Malcure農場の隣にあるStonfield農場の跡取り。私の家族はStonefield家をとても毛嫌いしているんです。昔から仲が悪かったんですけど、ビリーの悪戯で最近益々険悪になってきましたの。私がトミーに会いたいなんて言ったら、きっと殺されてしまいますわ」
セシリー「ああ、アウンティエさんならやりかねませんね・・・」
メイベル「ええ、だからせめて私の想いを綴ったこの手紙をトミーに渡して欲しいんです。トミーはいつもStonefieldの西にある川で詩を書いてますから、すぐ見つかると思いますわ」
セシリー「なんかWarlockの仕事と全然関係ない気がしますが分かりました。必ず届けましょう」
メイベル「お願いしますね、私はMaclure農場で待ってますから」
メイベルを見送りベッドに腰掛けるセシリー。
セシリー「という訳で配達お願いね、キューズ君」
キューズ君「ええ!? あっしがですかい? あにきが届けるんじゃないんですか?」
セシリー「いや、セシは2日酔いで頭痛くて・・・」
キューズ君「もうだから、あんなに飲むなって言ったじゃないんですか!」
セシリー「うわ 大きな声出さないで頭が・・・」
キューズ君「あにき、昼間からごろごろしてちゃダメ人間一直線ですぜ。さあ、トミーに手紙届けにいきましょうや」
セシリー「うう、分かったよ。じゃあ行こうかキューズ君」
キューズ君「アイアイサー」
メイベルさん曰くとってもハンサムなトミーは、今日も川で佇んでいました。
トミー「メイベル・・・」
えっと・・・メイベルさんの美意識が理解できません。ホント『?』ってかんじですね。
セシリー「ゴリさん、じゃない。トミーさんこんにちわ」
トミー「こんにちわ、ふう・・・」
セシリー「何やら悩みがあるようですね、どうしましたか。よかったらこの怪しいWarlock、セシリーに話してみてください」
トミー「実はある女性のことを考えると胸が苦しくて、でも、その人はうちの家族と仲の悪いMaclure家の人なんです」
セシリー「ははん、アウンティエさんですね?」
トミー「ちゃうわー!! メイベルだよ、メイベル! 話の流れ読んでよセシリー!」
セシリー「冗談ですよ、冗談。実は彼女から手紙をですね・・・」
トミー「何メイベルからの手紙!? 見せて今すぐ!」
セシからもぎ取るようにラブレターを奪い、一心に読むトミー。
トミー「メイベル! メイベーーーーーーール!!」
セシリー「お、落ち着いてトミーさん」
トミー「うおおお、僕は決めたぞ! メイベルと駆け落ちする! セシリー僕の祖母に会って、僕とメイベルが誰にも姿見られずに家から出れるような方法を教えてもらってきて!」
キューズ君「いや、自分でいけよ。あんた・・・・」
セシリー「しー! キューズ君」
セシリー「分かりました、トミーさん。でも、貴方の祖母さんは駆け落ちに反対するんでは?」
トミー「いやそれが、おばーちゃんも若い頃誰かと駆け落ちしたらしいんだ。詳しくは教えてくれなかったけど、その時、誰にも姿見られない方法を見つけたって言ってた」
セシリー「なるるん。とにかく会ってくるからここで待っててね。決してメイベルに会いに行こうなんて考えないでね。アウンティエさんに見つかったらホント殺されそうだし」
トミー「OK~」
アウンティエさんと今度ビリーを懲らしめましょうとにこやかに挨拶を交わし、Stonefield家の家の中にやってきました。
セシリー「こんにちわ、Gramma Stonefieldさん」
トミー祖母「あらあら、こんにちわセシリー。先日はアウンティエのネックレスを見つけてくれたんだってね、ありがとう」
セシリー「いえいえ、見つかって何よりでした。あ、今日はその事ではなく、ちょっと相談したいことがありまして」
トミー祖母「まあ、なにかしら私が力になれるといいんだけど」
セシリー「実はトミーとメイベルのことでして。かくかく、しかじか・・・・」
トミー祖母「んまあ、そうだったの。あの若い2人には辛いわね。私達の家とMaclure家が反目しあってるうちは、あの2人の未来は繋がらないでしょう。駆け落ちもやむなしかもね」
キューズ君「いや、あんたたちが仲良くすればいいだけの話では?」
セシリー「しー! キューズ君」
セシリー「ええ、それで、あなたが昔駆け落ちに使った方法を教えてもらえたらと思いまして」
トミー祖母「なるほど、そういうことなら喜んで協力するわ。Wiliam Pestleに会ってちょうだい。彼は不思議なポーションを作ってくれるでしょう。Lion’s Pride Innに行ってみて」
セシリー「分かりました~」
Lion’s Pride Innはまだ昼間なせいもあって酔っ払いも少なく、店の主人と客達が穏やかに談笑している。
宿屋の主人「おう、セシリーさんお帰り」
セシリー「あ、ただいまマスター。ちょっと聞きたいんだけど」
宿屋の主人「宿代の合計ですか? 結構な額になってきましたぜ」
セシリー「あ~、それはまた今度にでも・・・えっと、ウイリアムって人泊まってないかな?」
宿屋の主人「ウイリアムさんなら、ほら、あそこでいつも薬を作ってますぜ。あの人の薬はどんな病にも効くって評判ですから」
セシリー「ありがとう~」
宿屋の主人「いえいえ、ちゃんとつけ払ってくださいね~」
最後の言葉だけ無視し、主人が指差した方向を向いてみると一人の男がなにやら呟きながら薬を作っている。
ウイリアム「う~む、やはりちょっと薄いか。もう少し毒を足してみるかな、ぶつぶつ」
セシリー「ウイリアムさん」
ウイリアム「うわっ! なんじゃいきなり声をかけおって、危うく爆発するところだったぞい」
セシリー「ああ、頭がですか? 見事になくなってますもんね」
ウイリアム「いや、薬がだよ!」
セシリー「ああ、はいはい。毛はえ薬ですね。それよりGramma Stonefieldから会うように言われてきたんですが」
ウイリアム「毛はえ薬じゃないって・・・何? Grammaが? 久しぶりだのう彼女がわしに人を紹介するのは。して、何の用じゃ」
セシリー「実はメイベルとトミーが、かくかく、しかじかでして・・・」
ウイリアム「ふむふむ、あの2人がのう。懐かしいわしにもそんな時があったもんじゃ。よし、ここはいっちょ一肌脱ごうじゃないか。ふ~む、あれを使うかのう」
セシリー「あ~、あれですか」
キューズ君「あにき、あれってのが何か知っているんですかい?」
セシリー「うん、きっと毒薬でメイベル以外のMaclure家の人々を皆殺しにするんだよ」
キューズ君「ええ!? まじっすか」
ウイリアム「そう、あれじゃ。透明薬を使うとしようかの」
キューズ君「あにき、全然違うじゃないですか・・・」
セシリー「ふむふむ」
ウイリアム「じゃが、今手元には透明薬のストックがない新しく作らにゃならんのだが、材料のCrystal Kelpは海の中にしかないんじゃ」
セシリー「潜って取ってこいってことですか・・・」
ウイリアム「いやいや、確かMurlocsとよばれるモンスターがCrystal Kelpをコレクションにしていたはずじゃ。MurlocsはCrystal Lakeに棲んどるから お主ちょっくら奪ってきてくれ」
セシリー「さらっと非道なこといいますね」
ウイリアム「なーに、必要なのは4つだけじゃ。それに彼らに恨まれるのはわしじゃないしのう、ふぉっふぉふぉ」
セシリー「ういっす・・・」
Crystal LakeはGoldshireからちょっと東に行ったところにある湖です。
セシリー「ああ、WoWでも泳ぐ時はやっぱり平泳ぎなんだねキューズ君」
キューズ君「遠泳に適した泳ぎ方ですしねぃ。それにクロールじゃ絵にならないし、バタフライはありえないでしょ」
セシリー「う~ん、そうか」
湖の真ん中に小さな島が浮いていました。
セシリー「ちょっと休憩。は~、のどかだね。こうしていると何もかも忘れそうになるよねキューズ君」
キューズ君「いや、忘れちゃダメでしょ。忘れちゃ!」
セシリー「もうめんどくさいな~。なんだっけMurlocsだっけか、キューズ君探してきて」
キューズ君「あいあい、連れてきますからちゃんと戦ってくださいよ」
しばらくするとキューズ君が帰ってきました。後にド派手な色をしたモンスターを連れて。
キューズ君「あにき、タースーケーテー」
セシリー「たまには一人でやってみようって気にはならないのかねキューズ君、セシはおねむですよ」
キューズ君「無理、しむ、しむってばー!」
セシリー「しょうがないな~、もう!」
Murlocsと向き合うセシ。
セシリー「かわいい! どうだいムーロック君、キューズ君に代わってセシの旅のお供にならないかい?」
キューズ君「ええ!?」
ムーロック「キキ?」
キューズ君「もう何言ってるんですかあにき! 真面目にやってくださいよ!」
セシリー「はいはい、分かりましたよ。殺せばいいんでしょ、殺せば! うう、ごめんよムーロック恨むなら、キューズ君を恨んでね」
見た目すっごいかわいいのに凶暴なところがまたいいムーロック君。でも、透明薬には彼の持つCrystal Kelpがどうしても必要なのです。
ムーロック「キキー・・・がくっ」
セシリー「うう、キューズ君が死んでも全然心が痛まないのに、この罪悪感はなに?」
キューズ君「もう、違うマスターを探そうかな・・・」
セシリー「微妙にキューズ君との間に亀裂が入りましたが、無事Crystal Kelp取ってきましたウイリアムさん」
ウイリアム「おお、これじゃよ、これ。ちょっと待っててくれ、今透明薬作るから」
セシリー「はいはい」
ウイリアム「これとこれを混ぜてポン! はいできた~」
セシリー「うわ、早!」
ウイリアム「ふぉっふぉふぉ。じゃ、これをメイベルに届けてくれ。これでStonefield家の者に見つからずに、トミーに会いに行くことができるじゃろうて」
セシリー「はい、ありがとうねウイリアムさん」
ウイリアム「いいってことよ、セシリー」
色んな人を巻き込んでしまったメイベルさんとトミーの大恋愛も、ようやく決着がつきそうです。
セシリー「お待たせ~、メイベルさん」
メイベル「あ、お帰りなさいセシリー。トミーに手紙届けてくれた? 彼は何か言ってたかしら」
セシリー「ええ、アウンティエさんがおっかないけど、駆け落ちしようと」
メイベル「ああ、私ももうそれしかないと思ってたの。私達やっぱり心が繋がっているのね。今、行くわトミー!」
セシリー「あ、待って! 正面から行ったんじゃすぐに見つかってしまいますよ。この薬を飲んでから行ってください。これを飲むと30分くらい姿が消え誰にも気づかれることなく、トミーに会えるでしょう」
メイベル「何から何までホントありがとうセシリー。これはほんのお礼よ、受け取って頂戴」
Heal Potionを5個もくれました、いい人です。
セシリー「ありがとう。これでまた一歩神に近づけた気がします」
キューズ君「疫病神にですかい?」
メイベル「母や父ををだますことには気がひけるけど、もうトミーへの想いを抑えきれないの。私、行くわセシリー」
セシリー「はい、トミーと末永くお幸せに~」
こうしてメイベルとトミーは、愛の配達人セシリーによって無事結ばれたのでした。めでたし、めでたし。
補足
う~ん、オチがない(^^;
この話はMaybellさんから始まる一連のクエスト『Young Lovers』、『Speak with Gramma』、『Note to Wiliam』、そして『The Escape』をまとめたものです。みなさんもぜひやってみてください~。
今日のサービスショット
WoWでは相討ちあります(-_-;
次回予告
若き2人の『愛のキューピッド』となったセシリー。
セシリー「ってなんでセシこんなことやってんだよ! Warlockは呪術使いですよ 呪術! ああ、誰か呪いたい~!!」
大声で危険な台詞を吐くセシの前に現れたのは、予告しておきながら出番をすっとばされたあの人だった。
ボルドー「死んじゃうってばー、早く助けてよセシリー!」
はたしてセシリーは、今度こそボルドーさんを救うことができるのか!?
次回「引き続きボルドーさんDieピンチ!~今度こそ書いてよね!~」 乞うご期待!
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