第05話 夢という名の蜘蛛の糸

WoW

Elwynn Forestに古城がある。そこは町の人々から『Westbrook Garrison』と呼ばれていたが、その名前の由来を知るものはもはや居ない。月に白く照らされたその外見は美しく、恋人たちの憩いの場所でもある。
メイベル「ここまで来ればもう安心ね、トミー」
トミー「ああ、ご覧。月の光で僕らの行く道が照らされている。真っ白で何もない道だ」
メイベル「本当に何もかも真っ白ね。トミー、私達うまくやっていけるのかしら」
トミー「きっと大丈夫。君と僕、2人で一緒に歩いていこうメイベル」
メイベル「トミー・・・」 
手を取り合い見詰め合うトミーとメイベル。静かで穏やかな雰囲気が2人を包み込んでいく。

???「牛よ、牛よ、牛さんよ~」
突然どこからともなく聞こえてきた声によって、静寂が破られた
トミー「ん、何だこの声?」
メイベル「どこかで聞いたような声ね」
トミー「そうかい? あ、こうしちゃいられないそろそろ行こう。この橋を超えればWestfallだよメイベル」
メイベル「ええ、トミー」
メイベルは橋の上で一度だけ振り返り、故郷のElwynn Forestに別れを告げた。

闇の中に消えていくメイベルとトミー。そんな2人にお構いなく声の主は詠う。
???「その血、その肉、そのミルクを持って彼の者に永遠の苦しみを与えたまえ~。その代価として、ここに居る我が使い間キューズ・ペップの命を捧げましょう」
キューズ君「勝手に捧げるなああ! あにき、いい加減にしないとあっしは本気で実家に帰りますぜ!?」
セシリー「もう邪魔しないでよキューズ君。呪いの練習してるんだから!」
キューズ君「あっしの命で練習しないでくだせえ!」
セシリー「大丈夫だよ、練習では命取られることはないから」
キューズ君「そうですか・・・って本番では取られるの!?」
セシリー「・・・・・ふ~、練習終わりっと」
キューズ君「ごまかさないでちゃんと応えてくだせえ、あにき!」
セシリー「お~今夜は月がきれいだね~。星もくっきり見えるし、ご覧キューズ君。あの星のひとつ、ひとつに命が宿っているらしいよ」

キューズ君「あっしも誰かさんのせいで、夜空の星になりそうですが?」
セシリー「あ~、暇だな~。何か呪いの仕事来ないかな~」
キューズ君「仕事なら先日請けたじゃないですか」
セシリー「あー、あれね~。いまいち気乗りしないんだよね~」
セシリーは先日引き受けた仕事の事を想い出す。

トミーとメイベルを無事結びつけたセシリーは、もらった報酬で昼間だというのに宿屋のバーで一杯やっていた。
セシリー「ああ~、なんか人を呪うWarlockの使命からどんどん外れていく気がするな~。やっぱ牛さんの呪いなのかな~。ね、キューズ君」
キューズ君「知りませんよ。それよりあにき、折角入った報酬なのになんですぐ使っちゃうんですか! これじゃいつまで経っても宿賃払えませんぜ」
セシリー「あ~いいの、いいの。マスターは冒険者には寛大だから平気平気。あはは」
キューズ君「そんなこと言ってると、いつか後から刺されますよホント。あーもう! せめて真昼間からお酒飲むのやめましょうよ、あにき」
セシリー「お酒は人類が生み出した人造の友だよ? ちゃんと責任持って付き合ってあげないと~」
キューズ君「友を選ぶ権利は酒のほうにもあると思いますがね」

非生産的な会話を続けるセシリーとキューズ君の間に、突然男が割り込んできた。
???「失礼ですが、先ほどStonefieldとMaclure2つの農場の間柄を決定的に引き裂いたセシリー様ですね」
セシリー「そうですよ~。人々を不幸にすることこそが、セシのWarlockとしての使命ですからってあなた誰?」
???「申し送れました。私の名はマエナー・ワタスレー。Goldshireの警備を任されている者です」
キューズ君「ちょうどよかったガードさん。この自堕落な酔っ払いを逮捕してくだせえ」
セシリー「しー! 黙ってキューズ君」
マエナー「ああ、そう身構えないでください。貴方を逮捕しにきたとかじゃないですから」
セシリー「いや~、話分かりますね。どうですか一杯? あなたの奢りで」
マエナー「いえ、まだ職務中ですから。今日会いに来たのは貴方にちょっとしたお願いがありまして」
セシリー「あ、誰か呪ってほしい上司が居るとかですか? 格安で引き受けますよ」
マエナー「いやそうじゃなく。とある場所の探索に向かってほしいのです」
セシリー「あ、めんどくさそうなのでパスで~」
マエナー「では、貴方をStonefieldのご子息、Maclure農場のご令嬢を唆した罪で逮捕しますね」
セシリー「・・・セシを脅す気ですか?」
マエナー「いえいえ、脅すなんてとんでもない。ただお願いしているだけですよ」
セシリー「・・・で、どこを探索すればいいんですか?」
マエナー「おお、引き受けてくださいますか、さすがセシリー様。ここGoldshireの東にコボルドたちが新たな坑道を作りましてね。それがどのくらいの規模か調べてほしいのですよ」
セシリー「貴方が部下を率いて調査すればいいじゃないですか、なんでわざわざセシに」
マエナー「我々は、最近活発になってきた盗賊団『アーカーバダンナ』への対処で手一杯でして。それにかの坑道にはコボルドの採掘士だけではなく、護衛のコボルドも居るみたいですしね」
セシリー「ああ、自分の部下がかわいいからって、罪のない市民を危険にさらすんですか。国家の犬に乾杯」
マエナー「いえいえ、罪のない市民を危険にさらすわけにはいきませんから、こうして罪のある市民の貴方にお願いしているのですよ」
セシリー「はいはい、分かりましたよ。やればいいんでしょ~、やれば」
マエナー「まあ、そう腐らないで仕事を追えたあかつきには、ちゃんと報酬差し上げますから」
マエナーはそう言うと席を立ちセシリー達のの前から去っていった。
セシリー「ああ、もうどうしてこうろくでもない仕事しかこないかな~。セシは何でも屋じゃないっての」
キューズ君「日頃の行いじゃないですかねぃ・・・」
セシリーは尚も続くキューズ君の小言を聞き流し、華麗な酔っ払いに変身していった。

セシリー「やっぱ気が乗らないな~」
キューズ君「あにき、仕事選んでられる状況じゃないでしょう。そろそろ宿屋のマスターの忍耐も限界ですぜ」
セシリー「ふう・・・しょうがない。じゃあその坑道Jaspelord Mineへ行くとしますか、キューズ君」
キューズ君「アイアイサー」

頭にろうそく、手にはつるはしを。それがコボルドたちの正装である。彼らが何故坑道を作り、掘った鉱物を何に使っているのかは誰も知らない。
セシリー「やっと着いた。遠すぎだよ、ここ」
キューズ君「あ、あにきくれぐれもFearは使わないでくだせえよ」
セシリー「はいはい、分かってますよ。ま~、どうせコボルドたちは採掘士だけでしょ。楽勝だよ」
ギューン

キューズ君「ぎゃー! あちち」
???「ふふふ、ふははは。Fireballは貴様の専売特許ではないぞ、キューズ!」
セシリー「あ、なになに? キューズ君のお友達?」
キューズ君「んなわけないでしょ! 襲われてるの!」
セシリー「む~、そうか。いきなり魔法を打ち込むとはなんと卑怯な!」
コボルドキャスター「黙れ、お前らも第3話で同じことしただろ!」
セシリー「え、そうだっけキューズ君?」
キューズ君「あ~、確かにやりましたね。あにき・・・」
セシリー「あ~、えっと。とりあえず頭の上のろうそく消しなさい!」
コボルドキャスター「ろうそくは関係ないだろ、ろうそくはー!」
キューズ君「確かに・・・」

いつもと違い長距離からの魔法の撃ちあいに戸惑い & SS撮った時のラグでちょっぴり死にそうに。
セシリー「メイベル & トミーの愛を今ここに、Heal Potion! ごくごくっ。ぷは~、効くー!」
コボルドキャスター「ユンケルって高いのは1000円くらいするよね・・・がくっ」
コボルドキャスターに苦戦を強いられながらも、奥へ奥へと進むセシリー。
キューズ君「あ、あにきコボルド達のろうそくも拾っていってくださいや」
セシリー「え? もしかしてキューズ君・・・頭につけたいの?」
キューズ君「なんでやねーん! ほらGoldshireの商人に収集頼まれたでしょ!」
セシリー「あ~、そうだっけ?」
キューズ君「あにきって、ホント記憶力ないっすよね・・・」
セシリー「まかせて、まかせて」
キューズ君「まかせられないって・・・ん、何でしょこの匂い、卵が腐ったような」
セシリー「ホントだ何だろうね。うわ、足元見てキューズ君!」
キューズ君「蜘蛛の糸? まさかこの奥に巨大蜘蛛の巣が」

足を蜘蛛の糸に取られそうになりながら進むと、開けた場所に出た。
セシリー「む、なんか居るね。あれは・・・」
キューズ君「Mother Fang! あにきこいつは相手が悪いですぜ、引き返しましょう」
セシリー「あれは宝箱だ! よし、行くよキューズ君」
キューズ君「人の話を聞いてくだせえ、あにき(p_;」
セシリー「小言は後、タイミングを合わせて」
キューズ君「ああ、もう!」
セシ&キューズ「Shadow・Fire・Bolt-!」
Mother Fang「あちち、暗! む~、食事の邪魔するなー! Spider Poisonー あ~んど 食らえ!」

セシリー「う、動けない。タースーケーテー、キューズ君」
キューズ君「あにきパニックになってはだめですぜ! 今あっしのFireballで焼き切りますから」
セシリー「まてー、セシも燃えるってば! む~、こんなねばねばなんかー! ねばーぎぶあっぷ!」
Mother Fang「・・・・・・・」
キューズ君「・・・・・・・」
セシリー「なに、なんなのこの空気は!? なんか納得いかないけど今がチャンス! 食らえShadow Bolt~!」
Mother Fang「し、しまったー!・・・がくっ」
セシリー「やった~。さ、さ。お宝ターイム。あれ、どうしたのキューズ君。毒でも食らった?」
キューズ君「いや、ちょっと精神的ダメージが・・・」
セシリー「む~、Mother Fangめ。そんな攻撃までしてきたのか!」
キューズ君(あんたや、あんた・・・)

セシリー「ち、ろくなもの入ってないなこの宝箱。ん? なんだろう妙な視線を感じるな・・・あ!」

ボルドー「ああ、ようやく助けが来たか。俺の名はボルドー。早くこの糸をほどいてくれ!」
セシリー「・・・さ~、帰ろうかキューズ君」
キューズ君「・・・そうっすね」
ボルドー「まてまて! お前達はこの憐れな捕らわれコボルドを見捨てていく気か!?」
セシリー「捕らわれのお姫様なら喜んで助けるんだけど、もしくは大金持ちの人とか」
ボルドー「あ、お金持ってるよ! 3cpくらいなら」
セシリー「ふう、いい事を教えてあげようボルドー君。ろうそくを失くしたコボルドなど、唯のいのししだ!」
キューズ君「うんうん、あにきにしては珍しく名言ですねぃ」
セシリー「でしょ、でしょ? よし、きまった所で帰ろう~」
キューズ君「うい~っす」
ボルドー「え、ホントに帰っちゃうの? 糸ほどいていってよ! このろくでなしー、冷血漢! の、呪ってやる~!!」
こうしてセシリーとキューズ君はボルドーさんの呪詛の声を背に受け、しかし、何故か晴れ晴れとした笑顔で帰っていくのでした。


補足

今日のサービスショット

町で出会ったGnomeさん。わざわざ呼び止めてSS撮らせてもらいました。う~ん、WoWのGnomeは好きになれそうです(^^;

次回予告

コボルドやわんこを蹴散らし、もはやElwyyn Forestに敵なし!
調子にのったセシリーは新たな土地へ足を踏み入れた。
セシリー「もはやセシ達に適う者は居ないな。ね? キューズ君」
ゴスッ、バキャ
キューズ君「次はもっといいマスターに巡り会えますように・・・がくっ」
セシリー「キューズくーん!? ばかな、たった2発でやられるなんて!」
???「ふふふ、あーっははは!」
キューズ君を囮にし自分はさっさと逃げたセシリーは、キューズ君を見限り新たなる力を求める(ひどい
次回「キューズ君引退!?~もうやってられませんわ~」 乞うご期待!


Played in 2005/08/14

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