第00話　プロローグ～Beginning of World～

背の高い木々が密集し森を形成している。森の中では野うさぎと狼達が生死を駆けた追いかけっこを演じていた。野うさぎは必死に逃げるが、後を気にするあまり目の前の障害物に気づかない。
ドンッ
ぶつけた頭を抱えながら頭上を見上げると、レンガで造られた建物があった。その頂上部には十字に似たオブジェがある。しばらく見とれていた野うさぎは、はっとし慌てて背後から迫る狼から逃げ、目の前の建物、教会の影にその身を隠す。震えながら壁に身を預けていると、壁を伝って内部の声が聞こえてきた。一人の女性らしき声である。

女性「宇宙の始まりは未だに解明されていません。大爆発が起き、それによって様々な生命を形成する要素が、世界に散りばめられたと言う説や、全能にして唯一の存在がこの宇宙を作られたのだなど、様々な説がありますね。でも、どのようにして宇宙が作られたのかは分からなくても、一つだけ確かなことがあります。私達が住む星『Azeroth』を作り上げた巨人であり金属の肌を持つ神々The Titansのもたらした"秩序"です。

Titan達はこの宇宙に様々な形態をもった世界、そしてそこに住む生命を作っていきました。Titan達を指揮する上位神The Pantheonは、The Twisting Netherと呼ばれる私達の住む3次元世界とは、別の次元からの侵略に常に警戒を払っていました。彼らThe NetherはTitan達の"創造と秩序"に対し、その創られた世界を壊し、宇宙を無に還そうという無限の悪意に満ちた故郷なのです。The Netherは永い時間をかけ、ついに3次元世界への道を作り上げます。これに対しThe Pantheonは、Titansの中から一人の偉大な戦士Sargerasを防衛に当たらせます。

The Pantheon「よし、Sargerasよ！　汝にこの宇宙の守護を任すぞ！」
Sargeras「ははっ！　このRobeと一命にかえても守り抜いて見せます！」
The Pantheon「いや、Robeは関係ないだろRobeは・・・・。ま～とにかく頼むぞ！」
Pantheonは一抹の不安を覚えながらも、Sargerasにすべてを任せました。Sargerasは永遠とも思える時間を戦い、やがて2つの強大な悪魔種族と遭遇したのです。

一つ目の種族は悪魔の魔術師。様々な闇の魔法と狡猾さで知られるThe Elder。物質世界に直接介入は出来なかったThe Elderたちは、彼らの邪悪な意思を物質世界に住む種族に侵食させていきました。精神を破壊され操られたこれらの種族は、The Deamonへと変えられてしまったのです。多数のDeamon達と凶悪なElder達の魔法も、宇宙を覆うほどのパワーを持ったSargerasには通用しませんでした。

しかし、Elder達を捕らえ牢獄に繋いだものの、その悪行や悪意を前にし純粋すぎたSargerasの心はかき乱され、揺らいでいくのでした。彼が纏っていたRobeは、その内心を表すかのように純白から灰色へと変わっていきました。内心の揺らぎを感じながらも、SargerasはElderと双璧をなす悪魔。吸血鬼の種族the Nathrezimと対峙します。

Sargerasは難なくthe Nathrezimを打ち倒したものの。その精神に触れてしまい、乱れていた心は引き裂かれ、闇に落ちていきました。灰色だったRobeも今や光すら映さない漆黒へと変わってしまったのです。
Sargeras「混沌と堕落、それこそが完全な自由なり！」
嗚呼、なんということでしょう。SargerasはTitan達の究極の敵になってしまったのです。

Sargerasは宇宙を滅ぼそうと軍隊を作り上げます。精神の牢獄に閉じ込められていた。The ElderとThe Nathrezimを解放し、軍隊の指揮を執る2人の指揮官を選び出します。それがKil’jaeden the DeceiverとArchmonde the Defilerです。Kil’jaedenはThe Dreadlord吸血鬼種族を配下とし、彼らは物質世界に住む様々な種族を闇に堕とし、Archmonde the Defilerもまた好戦的な種族を選びエリート集団として編成しました。

こうして2人の指揮官によりSargerasの軍隊は増大し、整備されていきました。彼は自らの軍隊を『The Burning Legion』と名づけ、着々とTitans達が作る世界への侵攻を準備していったのです。

一方その頃Titan達は、Sargerasの変貌を知ってはいたものの、その悪意に満ちた心には気づかず、自分達が創り上げる世界に夢中になっていました。この世界。私達が『Azeroth』と呼ぶこの世界は、実はTitan達が作り上げたのではなく発見されたものであると言います。Titan達はAzerothに元から住んでいた古き神々Elementsを追い出し、心優しき巨人Sea Giant達と一つの大陸を形作っていきます。

その中心にはthe Well of Eternity～永遠の泉～と呼ばれる湖が創られ、その湖に秘められたエネルギーは大陸中に広がっていき、肥沃な土地には植物や生物が繁栄し始めました。Titan達はこの大陸をKalimdor～永遠の星明りの地～と名づけ、5匹のDragon達に保護を命じAzerothを後にしたのです。Sargerasの邪悪な目が向けられているとも知らずに・・・・あらあら、のん気ですね～」

少年「宇宙？　う～ん、話が大きすぎていまいちピンときません。シスター」
シスター「う～ん、そうかもね。神話の世界の話だし、でも確かなことはWarlockと呼ばれる職業の人々は、Sargerasの闇の力にとりつかれ、混沌の魔法を操るってことね。いい？　カイル。何故か私達Alliance側でもWarlockになることはできるけど、決して選んではいけないわよ」
カイル「はい、分かりました。シスター」
シスター「ところで」
シスターは少年が座る椅子の横をちらっと見、ため息をつく。
シスター「この男はいつまで寝てるかな～。せっかく私がありがたい話してるっていうのに！」
カイル「あわわ、起きてください。？？？さん！」
カイルは必死に隣で寝ている男を揺さぶる。シスターの手には何故か棍棒が握られていた。
？？？「Zzz　Zzz」
寝ている男は揺さぶられてもまったく起きる気配がない。
シスター「ふ～。まあ、いいわ。どこかのRobe好きな魔法使いにでも眠らされているとでも思うわ」
カイル「え？　ああ、そうですね。それよりシスター。僕、話の続きが聞きたいな～」
シスター「ああ、そうね。じゃ、次は私達人間とOrc達の間に起こった戦争のお話ね」
カイル「はい～」
カイルはうまいこと話を逸らせたことに安堵し、シスターの話に耳を傾ける。

シスター「Night Elfeの女王の手引きによって始まったSargerasの軍隊『The Burning Legion』のAzeroth侵攻は辛くも防がれました。Night Elfeたちが2つの集団に別れ、裏切り、様々な思惑が飛び交い、最終的に永遠の泉the Well of Eternityの破壊によって、Kalimdor大陸そのものも粉々になることで・・・。
Sargeras「くそ～、おぼえてろ～」
町のチンピラのような台詞を吐き、Sargerasはこの世界に介入する手段を失い去っていきました。

しかし、彼は決してAzerothをあきらめたわけではありません。The Burning Legionの指揮官の一人、Kil’jaeden the Deceiverは先の失敗を省みる。確かにThe Burning Legionは強力だが、Azerothに住む者達、特にNight Elfeたちの軍隊はやっかいだ。そこでThe Burning LegionがAzerothへ降り立つ前に、Night Elfe達の軍隊の力をを弱めることにしました。

Kil’jaeden「しょうがない、Azerothの近くに住む種族の中から新たな軍隊を作り上げるか。あ～、めんどうだな～」
ぶつくさ言いながらも、Draenorと呼ばれる世界に住む一つの種族に目を付けます。大平原を遊牧しながら生活をする誇り高き種族Orc達に。自然と共に生きるOrcたちの中で最も発言権が強いのは、精霊と交信できるShamanです。Kil’jaedenはShamanのNer’zhulを配下にしようとしたが、賢明なNer’zhulはKil’jaedenの思惑に気付き、このままではOrcが彼らの奴隷と成り下がってしまうと、Kil’jaedenに反抗しました。

Kil’jaeden「あ～、もうなんで気付いちゃうかな～。暗黒のパワーのすばらしさが分からないとは。う～ん、どうしたものかな。このままじゃ私がSargeras様に怒られてしまうし」
困り果てたKil’jaedenは、Ner’zhulの弟子Gul’danに話を持ちかけます。
Kil’jaeden「お前が私の配下になるなら、大いなる力を授けよう！」
自分で言って、しまった、もう少しましな台詞無かったのか、私！　と後悔しながらもGul’danの答えを待ちます。
Gul’dan「あ～、やるやる～」
あらあら。その才能から将来を有望視されていたGul’danですが、どうにも好奇心が旺盛すぎたようですね。

こうしてGul’danはWarlockとなり、その魔法を広めるため秘密結社the Shadow Councilを組織します。Warlockの魔法はOrc達の間に急速に広まっていきました。Orc達は次第に凶暴性と戦闘意欲が増大していき、かっての誇り高かった彼らの姿は見る影もなくなっていったのです。そのことに危機を感じたthe Frostwolf clanの族長Durotanの警告も、最早Orc達の耳には届きません。

Gu’ldanは別々の一族をまとめあげ、新たな軍隊the Hordeを組織します。Blackhand the Destroyerを傀儡の族長とし、Draenorに住む他の種族をことごとく壊滅させていきました。Kil’jaedenはWarlockの魔法と、戦闘意欲に支配されたOrcたちを満足げに見下ろします。
Kil’jaeden「ふ～、これでSargeras様に怒られなくてすむな」
フフフ、中間管理職は大変ですね」

カイル「知らなかったです。あの残忍なOrc達がかっては誇り高い種族だったなんて」
シスター「そうね。すべてを狂わせてしまったのは闇の魔力、Warlockの魔法だわ。だから、いいカイル。決してWarlockになんかなっちゃダメよ？」
カイル「はい、分かりましたシスター」
うん、うんとうなずくシスターの耳にまたあの音が聞こえてくる。
？？？「Zzz　Zzz。う～ん、Nemu nemu」
カイルはシスターのこめかみがぴくりとひきつくのを見る。
カイル「あ、あー、それで戦争が始まったんですねシスター」
シスター「え？　ええそうよ」
カイル「その話が聞きたいな～」
シスター「う～ん、あんまり子供が聞くような話じゃないと思うけど、いいわ」
シスターは手にしていたトゲトゲのメイスを降ろし、再び語り始める。

シスター「Orcたちを裏から操るGul’danにSargerasは直接話しかけました。
Sargeras「うむ、君がGu’ldanか。がんばっているようだね。話はKil’jaedenから聞いているよ、どうだね。もし、君がAzerothに攻め込むならさらなる力を与えようではないか、ハハハ」
さらにSargerasは、Azerothの海中深くに封じられているSargerasの肉体を解放してくれれば、君を神の一人として迎えようと言いました。あやしい、あやしすぎます！　邪悪なる者すべての主として知られるSargerasのこんな口約束、信じられるわけがありません。Gu’ldanは答えました。
Gu’ldan「え～、ホントですか。グルダン張り切っちゃう～」
それでいいのかGu’ldan・・・・。

このDraenorとはまったく関係ない、Azerothへの侵攻に反対する者も当然居ました。the Frostwolf clanの族長Durotanです。Gu’ldanは正直、Durotanを暗殺したかったのですが、英雄たる彼を殺すことで兵士達の士気が下がることを恐れ、Azerothの世界の果てに彼とその一族を追放するにとどめました。そして兵士達には、Durotanは新たなる戦争に打ち勝つため特殊任務で、しばらく軍を離れると説明しました。実にうまいやり方ですね。

こうしてGu’ldanの操るHordeは、MedivhがAzeroth側からDraenorへと、そしてthe Shadow Councilは、DraenorからAzeroth側へと働きかけ、the Dark Portalと呼ばれた次元間の通路を開きました。この通路を通り、ついにHordeはAzerothへの侵略を開始したのです。私達人間の王国Stomwindの時の王、Llane王はOrc達を一瞥しただけで気にも留めず、首都Stormwindに留まっていました。
Llane「あんな緑の肌をした化け物共に、我らの軍隊が負けるはずがなかろう。ハハハ、愉快じゃ、酒をもてい～」

一方、王の右腕たるAnduin Lothar卿は王ほど楽観的にはなれません。彼は若き魔術師見習いKhadgarの助けを借り、この戦争の原因の一端である　Karazhanに居るMedivhを討ちます。Medivhの身体を通じてこのAzerothに介入しようとしていたSargerasは、またも目前で阻止されてしまうのでした。
Sargeras「え、わしの出番これだけなのー！？」
フフフ、この宇宙で最も強大な力を持つ彼が出てきては、あっという間に滅ぼされてしまいますからね。

知らない間に世界を救っていたとも知らずに、LotharとKhadgarは首都Stormwindへと引き返します。しかし、そこで目にしたものは廃墟と化した彼らの故郷でした。陥落した王城にはHordeの旗が立てられ、Orc達の祝杯の声が響いています。Lotharは自分の命にかえてもこの王都を奪還することを誓い、この地を後にしました。

残党を集めながらLordaeronの北部王国へと撤退していきます。彼はそこでこのままではやがて残る6つの人類の国々も、Hordeに滅ぼされてしまうだろうと警告を発し、Stormwind王国も含めた7つの国の代表を集め会合を開きます。そしてそこで後に『The Alliance of Lordaeron』と呼ばれることになる、対Horde連合を組むことが締結されたのです。

連合軍の総司令官として迎えられたLotharは、ドワーフやエルフたち亜人種にも協力を仰ぎます。初めは乗り気でなかった彼らも、徐々にHordeの脅威が自分達の国に迫るにつれ、連合に加わらざるを得ませんでした。一方のHordeのOrc達も、彼らの世界DraenorからオーガやTrollたちを呼び寄せ軍備を増強し、さらにHordeは、Azeroth世界の守護者たる5体のDragonの一体、Alexstraszaを隷属させることに成功します。
オークA「さあ、さあ。我々に強力しないとお前の大切な卵を破壊するぞオーク」
Alexstrasza「いやー！！」
さすがオークですね、血も涙もありません。

Alexstraszaは仕方なく従い、彼女の子供達にAliance連合を攻めさせました。圧倒的な数と強力なDragonの力の前にAllianceは善戦しましたが、じりじりと追い込まれていきます。誰の目にも長きに渡ったこの戦争が、Hordeの勝利で幕を閉じるかのように見えました。しかし、勝利を目前にしてHorde内部で内紛が起こります。原因はもちろんあのオークです。

Blackhandに取って代わり、Hordeの指揮官となったDoomhammerは信じられない様子で、彼に問いかけました。
Doomhammer「一体どうしたというのだGu’ldan。我らの勝利はもうすぐそこだぞ！」
Gu’ldan「あ～、グルダン。これからスキューバダイビングに行ってくるので、後よろしくね。アデュ～」
Doomhammer「グ、グルダーン！！」
嗚呼、グルダン、グルダン！　なんてことでしょう。Gu’ldanは最早Sargerasがこの地に介入できないとも知らず、深海に沈む彼の封じられた肉体を捜しに行ってしまいました。

途端に足並みの揃わなくなったHorde軍を見て、Lotharは残された軍を率い、最後の戦いを挑みます。一時はLordaeronの王都まで迫っていたHorde軍は次々に敗走していき、遂にはかって彼らが滅ぼしたStormwind王都跡地まで追いやられます。Lotharは好機を逃さずHordeのBlackrok Spireの火山要塞を攻めますが、この戦いで命を落としてしまいました。

英雄Lotharを失ったAlliance軍もまた崩れてしまうのかと思われましたが、彼の側近だったTuralyonはAlliance軍を再編し、Horde軍を追い詰め、彼らの世界とこのAzerothを繋ぐゲートDark Portalの破壊に成功するのでした。

増援を得る手段がなくなったHorde軍は、もはや組織として成り立たず、ちりじりになって逃げていきました。こうしてHorde　対　Alliance。第2次Azeroth侵攻は、Alliance軍の勝利によって幕を閉じました。人々は平和が訪れたことを喜び、Lordaeronの王都では祝勝の祭りが10日も続いたといいます。かってLotharを助けた若き魔術師見習い、今では偉大なArchmageとなっていたKhadgarは、Dark Portalの廃墟の前にNethergarde要塞を建設し、見張りました。2度と彼らがこの世界にやってこないことを祈りながら・・・・・。

さてさて、久々にAzerothを覗いたKil’jaedenさん。思わず呆然としながらその世界を見ます。彼の作らせたHorde軍はAzerothのどこにもおらず、Sargerasも降臨に失敗したようです。
Kil’jaeden「えっと・・・・　旅に出よう！」
Sargerasから叱られるのが自分であることを確信した彼は、あてもない旅へと旅立つのでした」
カイル「ふ～ん、じゃ間接的に世界を救ったのはGu’ldanなんですか？」
シスター「う～ん、そうとも言えるかな。あのオークは好奇心が強すぎたみたいね。ま～、Warlockなんてみんなそんなものよ。あなたも気をつけなさいね。カイル」
カイル「はい。お話とっても為になりました、ありがとうシスター」
シスター「どういたしまして、さてと」
カイル「えっと、シスター。その手に持ったモーニングスターで何を・・・・？」
にっこりと微笑みシスターは答える。
シスター「決まってるじゃない、このいつまで寝ている男を今度こそ起こすのよ！」
カイル「いや、そんなので殴ったら死んじゃいますって！」
カイルは必死にシスターを止め、寝ている男に呼びかける。
カイル「ああ、もういい加減起きてくださいよ。セシリーさん！」

カイルの必死の叫びか、それとも自分の身に迫る脅威を感じ取ったのか、ようやく男が目を覚ます。
セシリー「あ、おはよ～。シスター、カイル」
眠たげな目を2人に向けながら、セシリーは大きく伸びをする。
シスター「あんたねー。一体何しに来たの？　突然来たと思ったらすぐに寝ちゃうし」
セシリー「いや～、シスターの話って子守唄みたいですよね。あはは」
シスター「・・・・一応聞くけど、どの辺まで聞いてたの？」
セシリー「えっと確か～、Titan達の話のとこかな」
シスター「めっちゃ序盤じゃない！　きー！」
飛び掛ろうとするシスターを抑え、カイルはセシリーに問いかける。
カイル「シスター落ち着いて！　セシリーさんは何か用事があって来たんですよね」
セシリー「ああ、そうそう。旅に出ようと思ってね、お別れの挨拶を」
カイル「え？」
シスター「ああ、じゃようやくあの話を引き受けてくれる気になったのね」
カイル「あの話？」
シスター「ええ、神官として世界を旅し私達の教えを広めることよ」
カイル「へ～、巡回牧師ってわけですか」
セシリー「うん、Warlockとして世界に闇の魔法を広げるのさ～」
カイル「・・・・・・・・・。」
シスター「・・・・・・・・カイルくん～」
カイル「は、はい？」
シスター「ちょっとおねーさん、この人と大人の話があるから外に出てくれるかな」
その顔に浮かぶ笑顔とは逆に手に握られたモーニングスターがかたかた震えている。
カイルは無言で教会の外に出た、セシリーの無事を祈りながら・・・。

カイル「ん」
外に出ると太陽の眩しさに目を細める。と何かが足を引っかいている。視線を降ろすと1匹の野うさぎがカイルの足にしがみついている。
カイル「珍しいな～。野うさぎがこんなに人の近くに来るなんて」
カイルは野うさぎを抱き上げ、教会の階段に腰掛ける。教会の内部から何やら男の悲鳴が聞こえるが無視した。
カイル「う～ん、ホントいい天気だね～」
懐に野うさぎの暖かさを感じながら目を閉じる。が、すぐに目を開けた。
カイル「眠ることに恐怖を感じるとは・・・とほほ」　
今後も教会の近くでは眠れないだろう。

ガチャ
教会の扉が開きセシリーが出てきた。その姿はぼろぼろで、とてもこれから旅立つ人間には見えない。
カイル「あ、えっと無事でよかったですね。セシリーさん」
セシリー「うん。ま～、あんまり無事じゃないけどね」
セシリーは自分の姿をみて苦笑する。
カイル「それにしても、突然だったから驚きましたよ。教会の仕事じゃないなら何故旅立つんですか？」
セシリー「戦争が終わり、各地に平和が戻ったからね。Lothar卿達が守ったこの世界を見て回りたいんだ」
カイル「あ、その気持ち分かります」
セシリー「うんうん。君も、もう少し大きくなったら旅立つのもいいかもね。Warlockになると見送りはこんな感じになっちゃうけど」
カイル「あはは・・・・」
セシリー「じゃ、そろそろ行くよ。シスターによろしく伝えといて。元気でねカイル」
カイル「セシリーさんもお元気で」
セシリーはずた袋にしか見えないバッグを担ぎ、歩き出す。
カイル「あ」
その背中に手を振っていたカイルの腕から、野うさぎが逃げていった。野うさぎはセシリーの足元にまとわりつく。思わず立ち止まったセシリーは、ふと後ろを振り返り教会を見上げ手を振る。

セシリー「さよなら・・・・いってきます」
呟き前を向く。まだ見たことのないこの世界のすべてを見つめるかのように。
おしまい

補足

はい、というわけで始まりましたWoW日記。いきなり訳のわからない話ですみません（＾＾；　詳しい世界観を知りたい人はWoW wikiのStoryや World of Warcraft-reference-を見るといいと思います。次回はWoWの基本操作、及び進め方についてちょこっと触れようと思います。本編は第3話から開始予定～。

次回予告

旅立ちを決めたセシリー。
しかし、1歩外に出た途端にぱにくるのであった。
セシリー「写真！　写真どうやって撮るの！？」
基本操作そっちのけで、SSの撮り方を探すセシリーは生き延びることができるのか！？
次回「WoWの生き方、撮り方歩き方」え、tga形式ってどゆこと！？　乞うご期待！

Played in 2005/07/17