第18話 憎しみの連鎖~オークSIDE~(前編)
一つの戦いが終り、オークたちの間に平和が戻った。
Commonlandの川岸にあるHell Towerの中でVarhTaug将軍は今日も忙しい日々を送っていた。
トエリー秘書官「本日の予定は朝9時よりCommanderたちとの会議。11時より第一Camp視察。12時30分よりCaptatinとの昼食会。午後2時よりHell Tower守備軍の戦闘訓練。午後5時からは同盟国ゴブリン帝国の代表と会談の予定が入っております。将軍」
Taug将軍「うむ。ゴブリン帝国の代表は誰だったか?」
トエリー秘書官「はい、ゴブさんことリブゴー・リン様でしたが先の第1次Hell Tower攻防戦のおりに味方をかばって戦死されており、ラナーラ・ブゴリーン様が後任にあたるようです」
Taug将軍「そうか、ゴブさんが逝ったか。惜しい人物を亡くしたな」
トエリー秘書官「まったくです。これもあの魔女セシリーの仕業だそうで・・・。しかし、将軍が仇を討ってくれましたから、ゴブさんもうかばれるでしょう」
Taug将軍「セシリーか。ラナンの助言がなければ私とて勝てたかどうか怪しいものだ」
トエリー秘書官「何を仰いますか。将軍に勝てるものなどこの世に存在しません!」
Taug将軍「だといいのだがな。時にそのラナンの行方はまだ掴めないのか?」
トエリー秘書官「はい、調査部に探させておりますが。報告によるともうCommonには居ないのではないかとのことです」
Taug将軍「そうか。あの若者の成長を側で見てみたかったが、彼にはこのCommonは狭すぎるということかな」
トエリー秘書官「そうかもしれませんね。Commonに帰ってきた時の彼の成長ぶりが楽しみです。あ、将軍そろそろ出かけませんと会議に遅れてしまいます」
Taug将軍「おお、そうだった。では行くとしよう」
Commanderたちとの会議を終え、Taug将軍は第一Campの視察をしていた。ここ第一Campは魔女セシリーのランナー狩りで特に被害が大きかったCampである。地面は魔法による穴が幾つもあいておりCampのテントは焼け焦げていた。
Taug将軍「ひどいものだな」
トエリー秘書官「はい。ようやく復興作業が始まった段階でCampとしての機能を取り戻すには、今しばらくかかるかと思われます」
作業中のオークたちの間を将軍と秘書官が歩いていると、1匹の見習いと思われる兵士に呼び止められた。
見習い兵士1「失礼ですが、Vahr’Taug将軍閣下でありますでしょうか?」
Taug将軍「いかにも、私がTaugだが。君は?」
見習い兵士1「は、自分は第一Camp所属のアリーク・ウォー3等兵であります。名高きVarh’Taug将軍にお目にかかれて光栄です」
トエリー秘書官「彼は先の第一Camp襲撃の唯一の生き残りのようです」
Taug将軍「そうか。辛い経験をしたのだなウォー3等兵」
アリーク「いえ、Taug将軍があの魔女を討ってくれましたから」
Taug将軍が言葉を返そうとしたその時
伝令!
Campに1匹のオークランナーが走ってきた。
オークランナー1「お話中失礼します、Taug将軍閣下」
Taug将軍「いや、いい。何事だ?」
オークランナー1「は、現在Hell Towerが襲撃を受けています! 至急お戻りください」
Taug将軍「なんだと! 一体何者が?」
オークランナー1「は、見張りの報告によると6人の冒険者のようです。その中にセシリーらしき姿を見たとの報告も受けております」
アリーク「セシリー・・・・?」
トエリー秘書官「バカな、セシリーだと!? 先日Taug将軍が確かに倒したはずだ!」
オークランナー「しかし、確かにあの魔女のようだったと見張りは言っておりました」
Taug将軍「行ってみれば分かることだ。とにかく戻るぞ」
アリーク「お待ちください、将軍!」
Taug将軍「何だ?」
アリーク「自分も連れて行ってください!」
トエリー秘書官「何をバカな。実戦経験の無いお前など連れて行ったところで・・・」
アリークはまっすぐTaug将軍の目をみていた
Taug将軍「よし、来いアリーク」
トエリー秘書官「将軍!?」
Taug将軍「いいのだ。だが、我々はお前を守る余裕はないぞ。自分の身は自分で守れよ。アリーク」
アリーク「は、はい!」
Taug将軍「よし、急いでHell Towerに戻るぞ。トエリー」
トエリー秘書官「は!」
Taug将軍たちがHell Towerに戻った時、既に戦いは終わっていた。
地面に穴があき、Campは焼け焦げていた。そして全てのオークが死に絶えていた・・・
トエリー秘書官「こ、これはまるで第一Campの襲撃跡にそっくりじゃないか!? は! アリーク!」
アリーク「うわああああああああああああ」
無人になったHell Towerに若いオークの絶叫が響く。1人Hell Towerに入ったTaug将軍は頂上の壁に殴り書きされた文字を見つける。そこには短くこう書いてあった。
Robe!
Taug将軍「間違いない・・・奴だ」
つづく
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