第55話 Lost Memories~セシリー SIDE~(後篇)

EverQuest2

???「セシリー! セシリー!!」
ここは? 辺りを見回すと、見慣れた研究室だ。
???「気がついたかセシリー?」
僕は一人のハイエルフに抱きかかえられていた。
Ceciry「・・・・・・Tart?」
Tartalos「大丈夫か、セシリー?」
そうかここは現在?
アリー(ええ、そうよ。セシリー)
セシリー「アリー?」
僕は起き上がり、辺りを見回すがアリーの姿はない。Lord EverlingとTonan達が戦っているだけだ。
アリー(ごめんなさい、私の声はあなたにしか聞こえないの)
ああ、そうなんだ。
アリー(セシリー。お嬢様達のロケットを持ってる?)
みんなが一人ずつ持ってるよ。
アリー(好都合ね、セシリー。これから言うことをよく聞いてね。Lord Everlingを倒す方法、それは・・・・・・)
その方法なら確かに倒せるかもしれない。分かったやってみるよ、アリー!

Tartalos「アリーだって? 何を言ってるんだセシリー! しっかりしてくれ!」
Ceciry「もう大丈夫だよ、Tart」
Tonan「セシリー。気がついたなら俺達の剣にEnchant(魔力付与)をしてくれ!」
Ceciry「ううん、その方法じゃ倒せないよ。Tonan」
Tonan「じゃあ、どうすればいいんだ!」
Ceciry「みんな、6姉妹達のロケットを持ってる?」
Anryu「持っているけど、それをどうするの?」
Ceciry「Lordを中心にして、それぞれ対角線に立って」
Raiolio「そんなこと言われても、このガーゴ野郎が!」
Ceciry「まかせて・・・・・・この命なき者にもやすらかな眠りをもたらしたまえ、Mesmerize!」
僕の手から光が飛び、ガーゴイルを包み込み、その動きが止まる。
Lord Everling「ほう、貴様。Enchanterか」

6人がLord Everlingを取り囲むように位置取る。
Lord Everling「ふん、何をする気か知らんが魔法なぞ効かないぞ?」
Lord Everlingはバカにしたように呟き、動かない。
Ceciry「みんな、ロケットを掲げて!」
5人がロケット天に掲げる。
Lord Everling「ん? そのロケットはどこかで・・・・・・」
Deirdreお嬢様、Jenniお嬢様、Melanieお嬢様、Crystaお嬢様、Sheliaお嬢様、そしてElise、僕に力をかして! 僕がロケットを天に掲げると、6個のロケットから赤い光が飛び出し交わっていく。それはLord Everlingを中心に魔方陣を形成していく。
Lord Everling「こ、これは。まさか、あの術を!?」
赤い光の魔方陣が完成した。
Lord Everling「しかし、せっかくの魔方陣も術を使えるものが居なければ意味があるまい! フフフ、あの術はとうの昔に消失したのだろう?」
Ceciry「ご心配には及びませんよ」
Lord Everling「何?」
Ceciry「僕が誰かわかりますか? マスター」
Lord Everling「な、お前はまさか!?」
僕とLord Everlingが向き合い、その目線がかち合う。

Ceciry「今だ、アリー!」
僕の中から光が飛び出し魔方陣の中心に浮かぶ。その光は女性の体を形どっていく。
Lord Everling「アリーだと!?」
Lord Everlingは上空を振り仰ぎ、光を見る。
Lord Everling「またか、またしても貴様か。アリィィィィ!」
アリー「失われし肉体を今ここに、Summon Corpse MEDJ!」
魔方陣の中心に一人のダークエルフの体が召還された。
Lord Everling「ぐわああ、この体は!」
アリー「そう、あなたの体よマスター! メッジェ・エヴァリング!」
Lord Everlingの体から光があふれ出し、2つに分かれる。一つは天に昇っていき、もう一つはダークエルフの体へと落ちていく。
Lord Everling「待ってくれ、いかないでくれ。シェリー!」

Tonan「一体何が?」
Ceciry「事情は後で・・・・・・今はLordを!」
バキン!
掲げていたロケットが割れ、魔方陣が崩れていった。
Wesh「うわっ、びっくりした!」
魔方陣の中心にあった体に光が、Lord Everlingの魂が吸い込まれていき、その体が起き上がる。
Lord Everling「貴様らー!!」
アリー「今よ、セシリー!」
セシリー「ああ。みんな、今なら攻撃が効くよ!」
Raiolio「うおっしゃー!」
Raiolioが斧を振り下ろす。斧の刃が確かにLord Everlingの体に食い込んだ。
Lord Everling「ぐわっ!」
Raiolio「いけるぞ!」
Ceciry「油断しないで、彼はスペルマスターだよ! 呪文を唱える暇を与えないで攻撃して!」
Tonan「OK!」
Tonanの剣が切り裂き、Weshのレイピアが貫き、Anryuの小剣がLord Everlingを薙ぐ。
Lord Everling「こんな、こんな所でー!」
よろよろと後にあとずさりながらも、何かを唱えようとするLord Everling。
Tartalos「逃がすかTouch of the Grey!」
Tartの地面から氷の蔦が伸び、Lord Everlingの足を絡め取る。
Lord Everling「なに!?」
僕は小剣を引き抜き、魔力をこめる
Ceciry「万能なるマナよ。この小剣に不滅なる輝きを与えたまえAnnoying Demeanor!」
小剣がうっすらと光を纏う。そのままLord Everlingに突っ込んでいき、そして。
Ceciry「さようなら、マスター」
Lord Everling「ぐわぁ!!」
小剣をLord Everling、マスターの胸に突き刺した!

小剣の光が消えていき、只の小剣にもどる。マスターの体からは血が出なかった。かわりにその体がぼろぼろと崩れ落ちていき、中心から光が生まれる。
Lord Everling「・・・セシリー、私は・・・」
Ceciry「マスター・・・・・・」
マスターEverling「すまなかったなセシリー、アリー・・・・・・」
マスターの魂が天へと昇っていき、やがて見えなくなった。

アリー「終わったわね、セシリー・・・」
セシリー「うん、ようやくね・・・」
Raiolio「さ~て、じっくり事情を聞かせてもらおうかセシリー!」
Raiolioが僕に顔を近づけて迫ってきたが。
Anryu「トウッ!」
Raiolio「げっ!」
背後からのAnryuの手刀でRaiolioは気絶してしまった。
Anryu「まったく少しは気を使いなさいよね。コイツは」
Ceciry「Anryu?」
Tonan「俺たちは正門の所で待ってるから、後から来いよ」
そう言うと4人はRaiolioを引きずりながら、部屋から出ていってしまった。

Ceciry「アリー、これで本当によかったのかな?」
アリー「ええ。私が6姉妹にかけた術も姉妹達の2度目の死で解け、この城は解放された。この城に縛られていたすべての魂も解放されたわ」
Ceciry「でも、君は?」
アリー「私は、私の魂ももうじき解放される。心残りだったマスターの死も見届けられたしね」
Ceciry「そんな、いかないでよ。アリー!」
僕の目からあついものが零れ落ちていく。アリーはその雫をそっとすくい。
アリー「・・・・・・ふふふ、500年経っても泣いてばかりね。あなたは」
Ceciry「でも、でも・・・・・・!」
アリー「ほら、その台詞も昔と同じ・・・・・・私は満足よ、こうして転生したあなたに出会えたんだから。ねえ、セシリー。私たち、またいつか出会えるかな?」
Ceciry「出会えるよ、必ず僕が転生した君を探し出してみせる!」
アリー「約束ね?」
Ceciry「うん、約束」
アリー「じゃあ、もういくね。セシリー・・・・・・」
アリーの透明だった体がさらに透けていく。
Ceciry「きっと、きっと君を見つけるから!」
アリー「うん、まってるセシリー」
アリーは笑顔を浮かべ消えていった・・・・・・。

正門に行くとみんなが待っていた。
Tartalos「もう、いいのかセシリー?」
セシリー「うん」
Tonan「よし、じゃあ町に帰るか」
僕たちは町に向かって歩き出す。
Wesh「みんな、例の約束忘れてないよね!」
Raiolio「あ、覚えてた?」
Wesh「当たり前でしょ!」
Anryu「はい、はい分かっているわよ。ちゃんと一杯ずつおごってあげるわ」
約束か・・・・・・。僕は振り返り、古城を見る。古城は月の光に照らされ、静かに輝いていた。


Played in 2005/03/11

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。